ミンソン☆スペシャル(前編)



「サクラ!俺と結婚してください!!」

周囲の通行人の視線なんか気にしていられない。俺は一思いに叫んでいた。

ただ・・・肝心の相手はいないけれど。

「・・・やっぱりありきたりかなぁ・・・」

憧れのサクラさんと恋人同士になってしばらくたち、

もう、そろそろプロポーズしてもオッケーかな?という雰囲気に時々なることがあった。
(コラ、そこ!気のせいとか言うな!)

いや、たぶん断られたりしないと思うけど・・・

サクラの事に関してだけは、俺は常に不安と隣り合わせの状態にあった。


でも強くて弱い、儚くて健気で、美人で可愛くて、気が強いけど優しい、

そんなサクラが安心していられる場所を、俺が与えてあげたかった。


だから今何をしているのかというと、
プロポーズの練習だった。


君のご飯が一生食べたいんだ!・・・う〜ん、古いかぁ?

ま、毎朝君の天使のような声と笑顔で目覚めたい!!・・・いやぁ・・・なんか頼りないかな・・・

黙って俺について来い!!・・・・・・殴られそうだ・・・」


あ〜・・・どうしたらこう・・・サクラのハートをグッとつかめるプロポーズができるのかなぁ・・・

デートの約束は明日の朝。

今日は何にも集中できなそうだから、一日こうして港で練習をすることにしたんだ。

カンナバーロはイタリアの苗字らしいので、イタリア語で情熱を表してみた?あれ?アモーレってイタリア語だっけ?
「あら、ミンソンさん。こんにちは〜」


「あ、スズナさん!ちはっす!」

「何してるの?」

「あ、プロポーズの練習です!」

あ、バカ正直に答えちまった・・・ま、いっか。

「きゃvvついにサクラお姉ちゃんと結婚ですか〜vvおめでとうございます〜vv」

「い、いやぁ、まだ決まったわけじゃ・・・」

「サクラお姉ちゃんはきっと熱烈アプローチに弱いわよvv頑張って〜!」

「は、はいっ!頑張ります〜!」
おぉ〜さすが将来の妹!親切なアドバイスだ!

熱烈アプローチ・・・う〜ん・・・


「サクラ〜!好きだ 好きだ すすす好きだぁぁぁ〜〜!!
俺と 結婚、けけけ結婚 し て く れ 〜 YO!HA!

うん、こんな感じか?

「何してるの?ミンソン君。」

「グ、グレルト・・・」

説明しよう!

俺とグレルトは遠い親戚同士で、年が三つしか離れていないこともあって

実は子供の頃からの仲良しさんなのだ!



「今の何?プロポーズ?」

「ま、まぁ・・・その練習だよ。」

「なんで途中わざとドモるの?”すすす好きだ〜“って。」

ラップ調にしてみたんだけど・・・情熱的じゃないか?」

「う〜ん・・・あんまり意味ないかも。」

「そっかぁ〜・・・何か良いアドバイスしてくれよ〜

サクラはどんなの好きそうだ?」

「え〜わかんないよ〜」

「わかれ!!弟だろ!

「サクラ・・・ミステリアスな人・・・vvvvv」「い・・・痛いよぉ〜放してよぉ〜(じたばた)」
何か教えてくれないとお前が学校入るまでおねしょしてたこと、レニカちゃんにばらすぞ!」

「あっ!ひどい!えっと〜えっと〜じゃあねぇ〜・・・

しっかりした頼りになる所を見せるのはどうかなぁ?」


「しっかりした?・・・そうか・・・なるほど。わかった!サンキュ!」


しっかりした・・・えっと・・・

ボクは将来的にはショルグ長になりまして、ゆくゆくは議長にまでなろうかと考えてます。

子供はそうですね〜一家でサッカーチームができるくらい欲しいですね!

さあそんなボクと
レッツ結婚vv


うむ。将来設計がしっかりした男っていうのは良いんじゃないか?

その後通りがかった将来のお父上、ジョンさんに

”そんなに大人数産ませたらサクラが死んでしまう!“と怒られたり、

しっかりしてるのと、理想論を語るのは別だと将来の義弟、プレヴィさんに注意されたり、

第一あんたが議長?と見知らぬ人に言われたりもした。

はぁ・・・

結局俺はどうしたらいいんだ・・・


なんだかんだと悩んだまま、時間ばかりがたっていた。

日も暮れかかった頃、家のドアをノックする音が聞こえた。

「は〜いっ・・・って、サ、サクラ!!」

「・・・こんばんは。ちゃんと生きてる?」

「い、生きてるけど・・・」

なんでサクラが・・・

「・・・はい、差し入れ。あたたかいうちに食べてね。」

「はいvv俺一人で全部食いますvv」

御家族と。」

「はーいっ・・・」



「あの・・・今日・・・」

「ん?」

「今日、一日どこにいたの?」

「どこって・・・?」

「いえ、あの・・・ずっとミンソンの姿、見かけなかったから・・・」

「あ、あの・・・ずっと港にいたよ。」

「そう・・・」

そっか・・・いつもなら暇を見つけてはサクラの所へ通ってる俺が

今日は一度もサクラに会いに行かなかったから・・・

「心配して来てくれたんだ・・・」

「べっ・・・別に心配なんかしてないわよ!ただ、どうしてるかなーと思っただけで・・・!!」


「へへっvvサンキュvvすっげー嬉しいvv」

サクラが俺のこと考えてくれてたなんて〜

それだけで俺、もうお腹いっぱいだぜ。

「・・・明日・・・」

「ん?」

「大通り南で待ち合わせ、よね?」

「はいっ!待ってます!」

「じゃあね、おやすみ。」

「おやすみなさ〜いvv」


そういえばミンソン君の家族構成って謎・・・確かジョンパパの姉か妹の息子?
よしっ、サクラが俺のこと気にかけてくれてる!

大事に思ってくれてる!

・・・俺もその分サクラを大事にしていかなきゃ・・・!

明日はしっかりプロポーズするぞ!!


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