「友達、でも好き。」後編





昨日は忙しい一日だった。

スズナちゃんに告白して(振られたけど) 、マミって奴と友達になった。


なんかがさつって言うか、とにかくワイルドな奴なんだけど、すごく気が合う。

それでいて俺を慰めてくれたり、いい奴だなって思った。

実際あいつと遊んでたら気が晴れて、なんだかスッキリしたんだ。

それ以来、マミとは友達としてよく一緒にいるようになった。

思い出すと痛んでいた失恋の傷も、いつの間にか癒されていた。


いい友達ができた、と思っていた。・・・あの日までは。




その日はマミ対スズナちゃんの試合の日だった。

二人とも友達だし、せっかくだから応援に行く事にした。結果は・・・


「あ、ヘルムート君!応援ありがと!おかげで全力が出せたよ!」

「あぁ、おめでとう。よかったね。」

「うん。バイバイ!」


まぁ・・・マミも一敗くらい気にしないだろう。

軽くからかいつつ、励ましてやろうか。

しかしいくら待ってもマミが闘技場から出てこない。


おかしいな・・・



闘技場は静まりかえっている。

その隅っこでマミが座り込んでいた。

「よっ!マミ!一敗くらい気にすんなよ!お前ならまたすぐ取り返せ・・・る・・・。」


たたいた肩が震えている。

そして、振り返ったマミの頬は、涙で濡れていた。


「・・・ヘルムートぉ・・・」

「お、お前・・・何泣いて・・・!?」

「だって・・・だってあたし・・・!・・・うわぁぁぁん!!!」


マミは俺に泣きついてきた。

マミが・・・あのマミが泣くなんて・・・

何を言ったらいいか分からず、俺はマミの背中をなでていた。



しばらくして、マミは少しずつ話始めた。

「あ、あたし・・・スズナには負けた事なかったのに・・・

今日・・・全然かなわなかった・・・。悔しい・・悔しいよぅ・・・!」


まったく・・・それくらいの事で・・・負けず嫌いな奴だな・・・

よし・・・。


「マミ。行くぞ。」

「えっ?」




俺はマミを連れて、以前マミが連れてきてくれた場所に来た。


「飛び込むぞ!マミ!」

「!・・・うん!!」


二人で服のままアイシャ湖に飛び込むと、俺達は夢中になって遊んだ。

いつかマミが俺にしてくれたように。


「マミ、うだうだ悩んでてもお前らしくないぞ!

悔しかったらまた鍛えなおせばいいじゃん!人生終わったわけじゃねぇだろ!?な!」    


「・・・うん・・・。うん!そうだね!・・・ありがとう!」


そう言って微笑むマミに、思わず見とれてしまった。

その笑顔は今まで見たことがないような笑顔だった。

少し弱みを見せてしまった照れからか、いつもよりも、可愛くて・・・


「あんたがいてよかったよ、ヘルムート。

ほんと、あたし達、ベストフレンドだね!」


・・・不覚にもドキドキしてしまった。

マミにそんな気持ちになるなんて、どうかしてるよ、俺・・・。




そしてその時の気持ちが、そのまま今に至るわけで・・・


「・・・俺は真剣に・・・」

マミは驚いた顔のまま、俺を見ている。


「俺は真剣に、お前が好きなんだ!!

ずっと・・・友達だったけど・・・

ただの友達としてじゃなくて、お前は、俺の人生に必要な女なんだ!!」


するとマミは、あの時みたいな照れた笑顔を見せて、言った。


「・・・やったね!大成功!!」

「・・・?」


「最初からあんたはあたしに惚れる予定だったのよ!

ひっかかったな!ざまーみろっ!・・・へへへっ」

眩しい位に笑って、マミは言った。


「・・・大好きだよっ!」


俺は、思いっきりその笑顔を抱きしめてやった。


「お前って、ホント、憎らしいくらいイイ女!」




俺達、ずっと友達みたいな恋人でいような、マミ!